俺と俺の対談第一回
俺「ちっちゃなリュックを背負った女の子は可愛いよね」
俺「可愛さに騙されてはいけないよ。あのタイプの仔は水晶とか持ち歩いてるから」
俺「多分持ってないと思うけど、仮に持ってても特に問題ないのでは」
俺「テスラ缶よりはマシだが」
俺「偏ってるなぁ」
俺「最近の悩みはさ」
俺「うん」
俺「LINEの返信を一文一文分けて送信するか、一度にまとめて送信するか、それなのよ」
俺「どっちでもいいんじゃない」
俺「相手は通知を見た時、3とか4にめっちゃ送るじゃんって思うじゃん。でも、中身は1でも十分な内容なのよ」
俺「好きな人からの返信なら、1より4の方が嬉しい」
俺「でも内容は、4ではないの」
俺「少し悲しい」
俺「不必要な悲しみがこの世に生まれてしまうのは避けるべきでは」
俺「一理あるなぁ」
俺「じゃあ、やはり」
俺「でも、その時の気分じゃない。返信書いてる時はそんなこと気にしてないでしょ」
俺「せやね」
俺「いまだにナスはお嫌いで?」
俺「しかり」
俺「最近ではピーマンより嫌いなのではないですか?」
俺「カレーにピーマンが入っていても普通に食べますが、ナスならキレます」
俺「キレますか」
俺「ええ、キレます」
俺「なぜに?」
俺「カレー全体にナスが染み出てますから」
俺「気のせいですよ」
俺「瓜科の野菜は害悪ですよ。すべてを台無しにする」
俺「そうかもしれません」
俺「夜な夜なゴミ捨て場を掃除している近所のおばちゃんの公共性に、ネット上の政治的発言は敵うかな」
俺「それよりも、きっと100年後には、渋谷の街中をバニラの広告カーがあのキャッチーな音楽と共に走り回った事実が語り継がれていないと思うんだ。それが歴史学の限界だよ」
俺「それはそうだね、記述される歴史にも階級があるんだ」
俺「そう、我々の歴史は記述されないのさ」
俺「例えばメロンソーダとか」
俺「そうだね」
俺「そうなの?」
俺「うん」
俺「……」
俺「……」
俺「なんか面白いことあった?」
俺「とくに」
俺「映画とか」
俺「不快な映画なら観た」
俺「なに?」
俺「思い出したくもない」
俺「残念」
俺「面白い映画は?」
俺「迫力のある映画は面白いね。映画観で観れば特に」
俺「例えば?」
俺「ウルトラマンとか」
俺「よかったの?」
俺「人間の話以外は」
俺「それどこ」
俺「多分最初の方」
俺「ふーん」
俺「なにかあった?」
俺「漫画しか読んでない」
俺「なに?」
俺「ドラえもん」
俺「大長編?」
俺「バンホーさん」
俺「空間の特異点!」
俺「そう」
俺「他には」
俺「チェンソーマンとか」
俺「アグニの方好き」
俺「は?」
俺「あ?」
俺「あれ、物語ぶれぶれじゃん。首の皮一枚繋がってるだけで」
俺「そんな話はしてない」
俺「あ、そうすか」
俺「もうそろそろ終わろうか」
俺「次からは司会も入れよう」
俺「誰がいい?」
俺「考えてみる」